〈私の〉オブジェ・トゥルヴェ12/6 ★その6---ブーレーズ「未完」の『第3ピアノソナタ』㊙️続編に迫る🧐---
- yumiko segawa
- 3 日前
- 読了時間: 6分
〈私の〉オブジェ・トゥルヴェ12/6 ★その6
---ブーレーズ「未完」の『第3ピアノソナタ』㊙️続編に迫る🧐---
あと3週間。
この企画の“本丸”のこと、まだ言葉でお伝えできていませんでした…🫣
ブーレーズの「㊙️」に、リサイタルの場で立ち入るべきか、見送るべきか…これを演目に入れる事にどれだけ悩んだことでしょう😶🌫️
密かに2021年にUniversal Editionから出版された未完の『第3ソナタ』の㊙️断片の譜面の存在をご存知ですか?
そう、ブーレーズが枕辺まで手を入れていたという、生前にはレクチャーの形以外では上演を禁じられ、「断片」状態で発見された未発表の「フォルマン1:アンティフォニー」を、この度、完成された2つのお馴染みのフォルマン「トロープ」と「コンステラシオン」と共に、皆様にひとつ想像していただくために音響にしてみます🙋♀️
当日は、演奏前に少しお話させて頂くことも考えましたがやはり「リサイタル」の演奏の場を大切にしたくまだ検討中なため、あらかじめ演奏順をお知らせ致します📄
3つのフォルマンの内訳については、下記に😉
この「フォルマン1:アンティフォニー」のアジア初演(韓国)はフローランさんによりされたようですが、日本ではどうでしょう。日本初演になるか調べはつきませんでしたが、どちらにせよ、恐らく会場の皆様には初めて耳にしていただくと思います。ブーレーズが抱いていた貴重な「構想」の一部をお聴きいただくことに🙇♀️🍀
ブーレーズの未完成の『第3ピアノソナタ』は、ご存知の通り、5つのまとまりからなるあまりにも巨大な構想💭であったために、生前に完成に至りませんでした。一般には完成された版は2つ目の「フォルマン2:トロープ」と3つ目の「フォルマン3:コンステラシオン」のみで、この2つのフォルマンをもって『未完の第3ソナタ』と言われてきました。
(その完成されなかった『第3ソナタ』のアイデアの破片を、後期のあらゆるブーレーズの作品群の端々に息づいている様を見出すことも楽しみのひとつ💡)
さあ、この5つの巨大構想、ひとことで分かりやすくお伝えすることは困難です😣でも、演奏前に、努力してみます!٩( 'ω' )و
説明したところで、ますます伝わらなくなるかもしれないことも覚悟して…🫣
まずは画像をご覧ください。
赤と緑で印刷された大判の譜面の📖、「管理された偶然性」で有名な、3つ目の「コンステラシオン」を中心に、5つのフォルマンが円形構造として順序が可動的に配置される仕組みです🌀。
こうした見えない「全体の幻想」を立ち上がらせるべく、ちょっと勇気を出して組み立ててみたのが今回のリサイタル「ひとつの詩のはじまり」です。
まず、㊙️(初だし)の1つ目の「フォルマン1:アンティフォニー」ですが、画像にあるように
・<アンティフォニーI>
〈Antiphonie | 〉 (verset 1- répons 1)
・〈シグル〉が挿入された〈トレ・イニシャル〉
〈TRAIT INITIAL / premier trait médian〉, incluant 〈Sigle〉
・<アンティフォニーII>
〈Antiphonie || 〉(RÉPONS II -VERSET II -RÉPONS II)
の順序で演奏します。
このアンティフォニー断片群で一番長いものは、〈トレ・イニシャル〉(6分ほど)です。
これを中心にして、3つの断片的1分の作品〈アンティフォニーIと II〉、〈シグル〉を置きます。
〈トレ・イニシャル〉は、主要パートとして水平的な展開です。ブーレーズにしてはまったく噛み合っていないテクスチュアで、長いトリルが印象的。そこに、垂直的にコードのアルペジョが立ち入り、中断したりする。動きが進むにつれてその中断が頻発。垂直、水平の素材でコントラストのあるキャラ。
Éventuellement (場合によっては)、この指示があるところに、〈Sigle〉という上記の1分の断片が挿入されます。
ここで、9声の和声が響く✨
これはSacherコードと同じ。
レポンで、6人のソリストがはじめて登場する前の、予期せぬあの和音と同じ!
b - c - gis - cis - es - fis - a - e - f
矢印の音は強化された音。主要パートで使われた音列とは違う他の音列から持ってきたものかと。矢印入りのこの譜面こそ、これが「断片」であることを示しているよう。
小節線があること、パルスがあることがこの曲の特徴です。
『第2ソナタ』の第2楽章の「トロープ」と同じように取り囲まれた素材の特徴を多く取り込み、次第に挿入はダイナミクスの極端さが少なくなり、一連のダブル、トリプルトリルに溶解していく…
troped insertion 挿入句としての方法に注目です👀
そして、残りの〈アンティフォニーI〉と〈アンティフォニー II〉と〈シグル〉(トレ・イニシャルに挿入される)の3つにはそれぞれ、レポンとヴァーセット(聖句の短詩)がそれぞれの特徴の違いを際立たせながら交互に置かれています。本当にすごい細かな入れ子構造!🫨
これらは1分程度で、音域が固定されたトレ・イニシャルとは違って、広範囲の音域をブーレーズらしいリズムで跳ね回る断片です。
このアンティフォニーに備わる2種類は余りにも違う特性なので、聴いてすぐ挿入句とわかると思います。
さて、あとはすでに出版されているお馴染みのフォルマンについて。
有名な中心の「コンステラシオン」については、それこそ「B→C」でも演奏させて頂きましたし、segaway-projectリサイタルで登場するのは、実は3回目となります。なので、2018年のvol.6「ドゥルカマラ島-時間の泡は如何に?d→d-」でのプログラム冊子の一部を画像で。FBでも、また
クレー研究誌でも、取り上げた内容です。
ちょっとしつこいかな🥹
不確定の譜面なので、かといって即興的にではないので、演奏家があらかじめ選んだ順序で演奏します。それ故にこれまで様々な譜面の形を模索して演奏しましたが、今回は、ipadでの演奏になります。会場にはまた例によってあのオリジナルの大判の譜面は展示いたします。
そして、もうひとつの「フォルマン2:トロープ」は、4つあり
Texte(テクスト)から、注釈の意味を持つ、
Parenthese(パレンテーズ)、Glose(グロース)、Commentaire(コメンテール)の3つの、全部で4つの素材からなるフォルマンで、定義された音列が4つに分かれ、その4グループが円構造のようにぐるぐる回って、この4曲の主要音列にそれぞれ当てられます。
このことをとっても詳しく知りたい時は、『ピエール・ブーレーズ-現代音楽を考える-』のp.108あたりに載っていますのでぜひ📖!
弾いた方が絶対早い…でも、ブーレーズを弾くにも聴くにも、知識があった方が楽しめると思うので😊
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▪️瀬川裕美子segaway-projectピアノリサイタルvol.11
「ひとつの詩のはじまり」
〈私の〉オブジェ・トゥルーヴェobjet trouvé
-ソナタからアンシーズへ-
▪️2025年12月6日(土)15時開演@TOPPANホール
🎫トッパンホール・チケットセンター
◽︎program◽︎
・P.ブーレーズ:ピアノソナタ第3番(1955-63)
P.Boulez: P.Boulez: Troisième Sonate pour piano
ーフォルマント1:アンティフォニー(断片)より
Formant 1: Antiphonie (fragments)
Antiphonie I
Trait initial (Sigle が挿入された)
Antiphonie II
ーフォルマント3:コンステラシオン
Formant 3: Constellation»
ーフォルマント2:トロープ
Formant 2: Trope
・P.ブーレーズ:スケッチの断片(1987)
P.Boulez: Fragment d'une ébauche
・福士則夫:5つの断片(1967)世界初演
Norio Fukushi: Five Fragments for piano
I, H
II, 技法について
Ⅲ, S,B, W
Ⅳ, Y.
V, P-B
・P. ブーレーズ:ピアノソナタ 第1番(1946)
P.Boulez: Première Sonate pour piano
・J.S.バッハ:フーガの技法 BWV1080より
「3つの主題によるフーガ」(断片)
J.S.Bach: Fuga a 3 [4] Soggetti BWV1080/19
・P.ブーレーズ:天体の1ページ(2005)
P.Boulez: Une page d' éphéméride
・W.A.モーツァルト:ロンド K.494
W.A. Mozart: Rondo K.494 F Dur
・P.ブーレーズ:アンシーズ(1994/2001)
P.Boulez: Incises



































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