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  • yumiko segawa

カロリーネ・グルーバー演出によるアルバン・ベルク/オペラ『ルル』



8月の最後に、永遠にまだこの夏が終わらないかのような31日かな。


「もう」、いいえ、「まだ」??


明日も明後日も8/31だったら、宿題のために急ぐ必要もないし、安心して先送りできます📖


だからって気分はそう、ルル、ルーンとはいかないのです(゜゜)(。。


敢えて、無理に決着をつけなくてもよいことは世の中にたくさんあるのかも・・・


切りがいいね!とか、片をつける!とか、案外できるはずもないことに始末をつけてしまって、どうしようもないことが目の前に積み重なって、「今」があるのかもしれないかしら…🤔


と思いながらオペラ鑑賞後、新宿・靖国通りを歩いておりました🚶‍♀️💨


全3幕まで到らず、2幕の未完成で良かったのかもしれない。恐らくご本人も完成するつもりはなかったのでは。。

綺麗なシンメトリーなんて、ファンタジー?✨

毎回、演出どころかエンディングの筋書きまでが不確定になる訳だから。毎回、新しい。もちろん、そこが見どころ^ ^


アルバン・ベルク『ルル』。

(二期会オペラ@新宿文化センター大ホール)


今回注目の演出家カロリーネ・グルーバーさんの決死のルル擁護愛。


との前評判でしたので、今回はどんな演出、エンディングになるのか、楽しみにしていました✨


---やっぱり最後はゲシュヴィッツ伯爵令嬢の


「ルル、私の天使」


のせりふは聴きたかった…


とも思いつつ(><) ←cut !!


今回、最後はルルの影(ダンサー)とルルが一体になったシーンで、

誰からの「復讐」とも無縁に、命絶たれることなく、自ら昇天、もしくは、=永遠の未来を希求するかのような幕切れは、ある意味意表をつくものでした。


今日が千秋楽だったのでネタバレは許されるでしょう。


--- ルルの「自由」、とは??

処罰、もしくは復讐は、ルル個人に誰かがするものではなくて…ちょっと“あちら(彼岸)”に委ねた感があったのは、「フェミニズム」を越えて、今一番あるべき姿のような気がしたり。


よって、だんだん私のなかではルル自身が悪魔なのか天使なのかはどうでもよくなってきていました。


もしかしたらこの心境になることが大事で、 いわゆる「ルル」が社会の構成要素としてカウントされるのではなくて、


---人間は社会システムの環境。


「コミュニケーション」と「意識」が分離しているからこそ、それぞれ個に自由がある✨


今日の演出では、ルルの魂役としてずっとダンサーが向こう側で影のように踊っていました。

言ってみれば肉的なコミュニケーションのルルが歌手で、ルルの意識がダンサーということかな?


最後は、意識の「ルル」が、社会に開かれたコミュニケーションする『ルル』を優しく包んで、静かに、黙らせた、いえ…癒した。。


誰かに圧迫されることなく。


誰もルルを片付けなかったのは、とても、いかにも腑に落ちない(!)、素晴らしいエンディングだったと思います💗


まるでグルーバーさん自身が、これまで誰からも癒されなかった可哀想なルルを抱き締めてあげたかのように。

そして言うまでもなく、ただただ、ベルクの音楽が素晴らしかった。本当に夢中にさせました。ベルクの脳内はどうなっているのでしょうか、対立するものをこれだけ複合体として聴かせてしまう体質。

マーラーりゃ…


あと、今胸に残るのは、

シェーン博士が可哀想に想えた、ということ。


きっとこれは演出家の意図に反する感覚でしょうね。


ましてや皮肉にも、最後に(シェーン役が演じることになる)切り裂きジャックに生まれ変わって(!)ルル殺害の、「復讐」行為を遂げることすらできなかったシェーン博士さんですから(><)


ここで彼への同情が、私のように聴き手の中にひとりでも生まれれたのであれば、それこそグルーバーさんは悲しむでしょう…(;_;)


まるで家長父制度に荷担しているみたいで。


でも、ルル現象を全部家父長制だけに押し付けるのも、、、違う気がする。シェーン博士だって被害者。囚われの身。可哀想な人。


だからって、最後に天罰のようにルルを退治したところで、何も清々するものでもない。


そう、

ルルを「退治」しない,,,


ルルの退治 ≠ 正義

復讐しない,,,


グルーバーさんの正義・愛に、「フェミニスト」の概念を越えて、もしくは違う次元で、I'm for it !!✨


モーツァルトも含めて、すべてのオペラから「復讐」のシナリオを書き換える作業をしていったら、どんなものが見えてくるのだろう?😹


あぁ今日はこれこそ、


なんとも始末に負えない、


美しくも醜い尾ひれを、


うしろに永遠にくっつけた、


得体の知れない動物の音楽を聴いてきたことでしょう!


今は、Boulezによるルル組曲がバックで流れています。

今回のグルーバーさんの演出では、3幕に代わって慣例通り演奏された 「変奏曲」と「アダージョ」、これが、“ルル”と“ルル”が絡み合い、抱擁するエンディングに導いたのでした🕊️


@🐦🐦🐦Hall,

In🌳🌳🌳🌳🌳🌳

on August 24 and 25th の先日のサマーフェスティバルの記憶。

ブーレーズのひびきは、もっともエレガントで、セクシー、かつ、手に負えないものだった…(゜゜)(。。


エンディングという名の、永遠。

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