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  • yumiko segawa

バッハ『ゴルトベルク変奏曲』をめぐって~1つの楽想は1つの豆の鞘のようなもの~



故i教授 :礒山雅先生が30年間ひとり講師を勤められてきた長寿☆立川市民音楽講座《たのしいクラシックの会》にて、初めましての2時間弾き語り講演を担当させて頂きました(>_<) なんと、第3土曜10~12時の朝イチ枠!

題して、 バッハ『ゴルトベルク変奏曲』をめぐって~1つの楽想は1つの豆の鞘のようなもの~

...

講演を日々いくつも受け持たれていらっしゃる世の中の先生方、故礒山先生って凄いなぁ!と今更ながらに、その重みを身をもって感じ入りました。。

礒山先生亡きあとも、i教授ゆかりの演奏家や作曲家の先生方が講師を勤められ、とにかく礒山先生のもとに、ただただ好奇心旺盛な立川のおじさま、おばさまが集まられ、有志のメンバーでのみ30年間運営を続けられていらっしゃる《たのくら(通称)》。

今日も、とにかく会員が40人ほどさっと集まってくださる団結力にびっくり\(◎o◎)/

皆さん沢山笑って、本当に目をキラキラさせて終始話に熱中して耳を傾けてくださり感謝感激!こちらがパワーを頂いてしまいましたっ( 〃▽〃)

私は未だにi教授の死を信じておりませんが、この会の方々も、先生のお帰りを待ち望んでいらっしゃるのでしょう✨

市民講座だからこそ、話の一般化、それにi教授の高いバッハの識見を感じながらの準備や作業は身が引き締まる思いでしたが、本当に自分自身勉強になりました!(>_<) 2015年にリサイタル・CD録音、そして2017年に礒山先生とレクチャーコンサートをさせて頂いて以来のゴルトベルクについての、今回は1人弾き語りの機会。今日は今日で、今現在の私自身のゴルトベルク物語としてお話できたかなと、少し手応えを感じています♪

この副題にした~1つの楽想は1つの豆の鞘のようなもの~は、実はブーレーズの言葉の引用で、「僅かなものから発して1つの形式全体を操作するにいたるバッハの方法」を、ゴルトベルクをはじめとするバッハ最期の10年間に純化される作用をなんとか言葉にしてみました。

『ブーレーズ作曲家論戦』中のブーレーズのJ.S.バッハの論文は本当に事あるごとに読んでいるけれど、改めてブーレーズからバッハの素晴らしさを教えられている。バッハは本当に可能性に生きた人だったのですね!

---必然性の明らかにされた作品は、その成果によるのと同じ位、そこに含まれている偶発時によって豊かなのだと思う---

これをこの度実感。

・・・

「アリアの3拍子、これってどこに強勢がおかれていると思う?」

これを礒山先生から2年前に質問された私は、答えられず、未だに明確に答えが出せないでいる。サラバンドって言われているんだから2拍目に違いなんだけれど、いやいや、3拍子のソプラノのトリルの強勢は?とご著作でi教授は訴えられる。 まあ、どこであろうと強勢の位置は、ユラユラとしている。結び目の緩い非規定性がバッハの音楽を支えている? ちょっと、この辺りは演奏家のなかでは無意識の部分かもしれない。

---グールドは?

ちょっと判然としない。。

そこで恐る恐る高橋悠治さんを聴いてみる・・・。

「?」

なんだ!この3拍目のあとの空間は!ちょっと上向きに空中遊泳でもして、それからふとひらりと下りてきた1拍、そして2拍と。

まさに、カランコロンといった感じで、新鮮に面白い\(◎o◎)/

まあ、私はこの辺を曖昧にやってのける。 なにせ、その後の変奏に2、3拍目に派手目な強調が待っているのだから!\(^^)/

「可能性に生きた人」というバッハの一面も、リズムの解体と声部間の干渉の具合も本当にフレキシブル。統合しそうでほどけてまた解体されかねない感じのところで、新たなリズムが生まれてくる。

変奏4の、3音フレーズの応対、語尾がシンコペに変化する4音に切ったフレーズでの応戦と、どんどん変化するラフなストレッタの具合も、今みると本当に魅力的です!

クレーやベートーヴェンの切断の発想がなんだかとってもよく見えてくる。

あとは、クレーがバッハのヴァイオリンソナタ6番の3声部楽章を造形譜にした時に、クレーが声部同士の駆け引き---通奏低音に引き下がったり、テーマにのしあがってきたりするさまを心理的に描いたあの文体!(造形思考上巻p.452)

そういうものを、このゴルトベルクの中で、盛り込まれたトリオソナタの方法の中に、特にバステーマ担当のはずの「合いの手」役のバスが、上2声のカノンにまるで参加するかのようにダミー効果で入り込んだり、抜けたりしてる様にみる。

バッハは、カノンを3声で書けたはずなのに敢えてしないで、バスは上2声を模倣しそうで、しなかったり、ダミーになっていたりが本当に可愛くて面白い。ちょっと今回はそんなバスにも注目してみました✨

ということで、話は飛びましたが自由に色々お話、投げ掛けをさせて頂きました!

あと、不眠症で悩まされていたというご本人、カイザーリンク伯爵の正体は今後色々調べると面白そうです。科学アカデミーの初代会長だった?ロシア研の先輩、山下真悟さんよりロシアがらみの新情報が送られてくる・・・( ^∀^)ここは、少し予想はしていたものの、バッハ新資料が、いつかロシアからびっくりするような発見が飛び出すかもしれない、とひそかに期待しています!

ということで、バッハの旅は続きますがちょっとこの際、ブーレーズからバッハに引き続き、ストラヴィンスキーの「春の祭典」 のリズム細胞の具合を教えていただこう! 前にも読んで線が引いてあるようだけれど、どうやら新鮮すぎる( ^∀^)おもしろいなぁ。。。

そしてその大本命のブーレーズ。こちらの「たのくら会」で、来年辺りちょっと連続講演をさせて頂けることにもなりそうです(^^)/


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