音楽学者・音楽美学者:ルチアナ・ガリアーノさんによる『湯浅譲二の音楽』講演

November 25, 2019

 

arroganceなき(!)、温かい魂の人、湯浅譲二先生の魅力を、ガリアーノさんが日本語で一生懸命語ってくださいました(*´∀`)

昨夜は、イタリアより来日中の、湯浅先生を心から尊敬し研究してきた音楽学者・音楽美学者:ルチアナ・ガリアーノさんによる日本ベルク協会主催講演会。

最近、私の読書生活にも豊かさをもたらしてくれている著書、『湯浅譲二の音楽』ガリアーノ著/ピーター・バート編/小野光子訳 の内容+aとして、特に昨日は湯浅先生の人間性と精神性、そのルーツについてのお話でした。

...

訳者の小野光子さんや、このご著作の中でもたびたび的確に湯浅先生作品の本質に言及されるお言葉が光る柿沼敏江さん、郡山での『あれが阿多多羅山』のバリトンを歌われた松平敬さんなどもお見えになられ、先生の郷里の福島郡山からも学生さんがお見えになったり、と、
集まった皆さんで、“わたしたち”の湯浅譲二先生を感じる、なんともほっこりとした会となりました(*´ω`*)

このご本では、ガリアーノさんの音楽学者としての、多くの湯浅作品の内容に迫る非常に詳細な分析が綴られていて、とにかく彼女の鋭い感性でもってその本質をあぶり出そうとする姿勢に本当に驚かされています。

イタリアの、白洲正子とでも思ってしまう節が…。厳しくとも、温かくて正確で、authentic。

湯浅作品には、どうしてもその音符、音型だけからは抽出できないなにものかがあることは、わかってきた。しかし、ここまで作曲家の魂に対応して、共感できる仕事をなし得たヨーロッパの音楽学者の存在に、感動しています。

でも、それは湯浅譲二の音楽がそうさせている、というのが本当のところではないでしょうか。

西洋も東洋もない、「人間とは何か」そんなプロジェクションの光がガリアーノさんのなかに注がれたからなのですね 、、、イタリア人でいらっしゃるガリアーノさんが書かれたこと自体、そしてこの深い内容が、何よりも湯浅先生のアーケオロジックまで遡りつつ、遥か未来まで突き抜ける“プロジェクション“の精神の証明のような気がする。

特に、ここは引用させて頂きたい---p.216

「『芭蕉の情景』第3楽章 〈名月や門に指し来る潮頭〉は、Extremely quietと指示されており、…「静けさや岩にしみいる蝉の声」という俳句で、
蝉の鳴き声がかえって沈黙を驚くほどに巨大に感じさせるのと同様である…」

もう、この感性…✨山形の山寺での、このイメージが湯浅先生の音楽の静謐さからピタッとくるガリアーノさんに、私は一番感銘を受けました。
(ご自身で能楽、謡も、京都で一時期習われ、4年間日本で研究されたガリアーノさん。)

そしてそのすぐあと、

「海と月とが関係する宇宙的な現象、“門”という単語に暗示された人間の存在、高波を抑制する静的な力は、弦楽器、木管楽器の厚いフレーズの層・・・による揺らめく音色によって…」

と、詩の内容と音楽の内容の考察がされていくのだけれど、こういうところがどんな解説書よりも素晴らしいと思うところ。

 

そこでなんといっても、

“門”

への反応。

ここに「暗示された人間の存在」を感じてしまうガリアーノさん!ここでの“門”にも、やはりイタリアの伝統の感性を働かせていらっしゃる趣に、また宇宙Yuasaの懐の大きさを感じます…(>_<)

ダンテの『神曲』の正に「地獄門」
Per me si va ne la città dolente,
per me si va...
私を通って、あなたは行く…
あの門は、もしかして、“私” 自身?なのではないかというこの行。

と、私たちに意味深な暗示をもたらすダンテの多義的 “門” が、芭蕉の俳句に共鳴する。
もしかしたら、そんなことを湯浅先生は意識なさっていないのかもしれないけれど、それを汲み取ってしまうガリアーノさんにも、そして何よりその湯浅先生の音楽が、素晴らしいなぁと…(;_;)

とにかく、至るところにガリアーノさんの叡知、知識で裏打ちされた視野の広い湯浅譲二の音楽探求書物。

最初にarroganceなき!と書いたけれど、ある意味、そんな自己言及的ではない人間、湯浅譲二像が、もっとも印象に残りました。本当に、ego、自我を越えて、包括的で“コスミック”な感情で表現しつづけた、
独学の、
独創的な、
グローバルな知的人物、
かつ
日本の作曲家。。。

先生のオーケストラ作品『啓かれた時』、『始源の眼差』などを最近、遅ればせながらはじめて聴いて驚愕したところでした。

---聴く人が感動するかしないかということが、最終的な問題になる---by J.Yuasa

とにかく、すごい。それしかありませんでした。

こんな極上の世界は、ピアノ1台ではとても…(>_<)
というのは短絡的で、昨日、ガリアーノさんが雄一音源をかけられたのは、
ピアノのための『プロジェクション・トポロジック』。

そして、先生の母校福島県立安積中学(旧制)に今度教育実習に行かれる大学生に薦められた音源はなんと、

『内触覚的宇宙』!!

やはり、あの作品は先生の原点・・・。

そして、こっそり呟きます!
「先生、もう転倒しないでくださいね!(>_<)」

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