3/15「B→C」解体図譜 ★その7★
バッハの返し縫い🎗️
In (Bach ⇔ Bach)
~教会カンタータ BWV20~
先ほど、池原舞さんの猛烈多層的なストラヴィンスキー研究講演@ベルク協会 を聞いて、気分はすっかりポリポリポリ、バッハへ!ポリセフォニーq(^-^q)
・・・さて、私はバッハの自筆譜を見にライプツィヒにやって参りました!🇩🇪
---今すぐ飛びたいもの(/^^)/
いえいえ、なんとこのバッハ様の自筆譜を受け取ったのは、自宅でした\(^^)/
そう!現在、国立音大では楽譜貸出の宅配サービスをしてくださっています🙌
おうちで、バッハの自筆譜!✨
もちろん4色刷りのファクシミリ。
---今やネット上にバッハ・デジタルがあるではないか!と突っ込まれそうですが😹このサイズで触って眺められるのは嬉しいもの✨ https://www.bach-digital.de/content/index.xed
---バッハは四角い顔をして、四角い固定性に封じ込めない!
大変高価なライプツィヒ バッハ資料財団により編集された新シリーズ第9巻📖
ここに、BWV20の教会カンタータ「おお永遠よ、雷の声よ」の自筆譜が収録されています。
ここでは、 バッハがいつも、神に誓ってよりパーフェクトな実現を目指して首尾一貫して突き進んでいた様子まで伝えてくれる💨
バッハはこのBWV20の1724年の初演から、20年経った1940年代にもしっかり修正を加えていたという。
その時は、ちゃんとこの譜面p.2にも
“has been revised in full”
の自筆サイン入り。(もちろん原本は独語)
しかもそのバッハ文言レパートリーは
“has not been revised”
“has been fully revised and is correct ”
だったり。。
あらゆるカンタータの演奏譜にそのサインがあるらしい。。
この譜面付属資料には、上記のことをはじめとして、多くのバッハ資料を調べた上での音楽学的研究の成果が記されていて、「動的なバッハ」がすごく浮き上がってきます🙋
何よりJ.S.Bachの死後、息子のウィルヘルム・フリーデマンバッハが受け継いだこの自筆譜面が辿ったその後の長い道のりは・・・所有者死後、その遺族への引き渡し、→オークション、→そしてPetersコレクションに守られながらも、その間ナチ政権下で悲惨な運命をたどり…→またオークション…
そして→ やっぱり神様✨ブーレーズの資料も大切に保管するバーゼルのパウル・ザッハー財団が手に入れ、2013年にこのBach-Archiv Leipzigへ提供💗
そして、私は2022年にバッハの自筆譜コピーを自宅で眺めてる😹
なんて素晴らしい奇跡のリレーでしょう!!
自筆譜を見て、テンションが上がりますね🤗✨
さていよいよ「B→C」幕開けを飾る、この
J. S. バッハ「おお永遠よ、汝恐ろしき言葉」“O Ewigkeit, du Donnerwort”
BWV 20 の教会カンタータの本筋のお話へ!\(^^)/
ようやっとこの演奏会幕開けのカンタータのお話を。
ピアニストにとってリサイタルでカンタータとかかわれることはスペシャルな喜びです✨
まず、現存する譜面だけでも200以上?!もある膨大なバッハのカンタータ!
この中から、なぜこのBWV20のカンタータの第1曲目の冒頭合唱曲を「B→C」で選んだか?ですが、
➡️その理由は、
①フランス風序曲スタイルで書かれていることと、
②コラール・カンタータであること。
この2つが実現されているカンタータはそうそうない…20番がその中でも最も有名な、三位一体節後第一日曜日のためのカンタータです✨
白水社バッハ叢書5巻 フリードリヒ・スメントの「ケーテンのバッハ」を読んでからのこと・・・バッハの仕事ぶり、色々な発見がありました👍
まずこの「B→C」
3×(B→P)In(B→B)
にたち戻って、
In (B→B)のことから。
これは、最初と最後がJ.S.Bachで、「In」でラッピングされていることを表現してみた式で、
最後の曲は鍵盤楽器作品の王道、30分余りの大曲「フランス風序曲」ですが、冒頭も「フランス風序曲」形式で書かれたカンタータで幕開けなのです。門構えから入って、また門構えへ…
「In」 は、そのような体験をイメージして、また私たちのいる「場所」を表してみました😊
バッハのお仕事は、いつも
返し縫いに、返し縫いで、世俗と教会を上手に縫い上げていく🎗️
特に彼の心の支柱である②「コラール」は、生涯離さない。
バッハの終点、死の床での口述筆記の作品も、「オルガン・コラール」。
そして、このライプツィヒ時代に多く作曲されるBWV20にも見られるコラール・カンタータのかたち。
この2部構成を持つこのBWV20のカンタータでも、それぞれの部のお終まいには、4声体コラールが置かれていて、このコラールが第一曲目の冒頭合唱曲にも4声体の合唱として組み込まれている、という、統一的なつくりかた。
さらにこのBWV20は、1723年ライプツィヒのトーマス・カントルに就任して翌年の初演だけれど、この頃のカンタータには、その前のケーテンで極めた世俗の器楽形式で語る方法が、ちゃんと組み込まれてる🤔
それが、このたび取り上げる、①フランス風序曲形式で書かれたBWV20の第一曲目の冒頭合唱曲です!
ライプツィヒ時代の作品でありながら、ケーテンのバッハを体感できる貴重なカンタータ作品!
バッハにとって、仕事先を転勤したらその場限りで終える仕事はなくて、常に自分の信仰を新たにするために、神の言葉の伝え方が、世俗の記号(形式)でも、高貴に試されていくのですね✨
神様の言葉を表現するカンタータが、オペラのようなレチタティーボ、アリアの形式で劇的な場面として語られる方法は、このBWV20のカンタータでも取られています。この度は演奏しませんが、
BWV20の11楽章のうち3曲がレチタティーボ、5曲がアリア。
また、世俗形式のカンタータへの侵入の具合を見るのに極端な例は、教会カンタータでありながら祝典音楽のBWV194「こよなき望みなる祝賀の宴は」。
その極端な例は、この一例だけのようですが、 これはカンタータが完全な組曲形式(世俗様式)で表される驚くべき例とのこと😲
それにしても、このコラール・カンタータを今回の「B→C」のプログラムで選んだ理由を伝えたいところ、それだけでこんなにかかってしまった(><)
まだ、肝心のこのBWV20の第一曲目の5分間のドラマにも迫れていない😱
題名は、「おお永遠よ、雷の声よ」
「永遠-Ewigkeit -」
と、
「雷の声-Donnerwort-」
の2つの大きなキーワードをめぐって、バッハが神の裁きの場面、それに恐れおののく地上の人々の状況を音像で劇的に、豊かに、緻密に描きます…
その様を、あぁ、これがピアノに内蔵されたエクステンデッド・ピアノのエレクトロニクスに変換されるマジック具合を、、、《解体図譜 (その8)》でお伝えします!o(^-^o)(o^-^)o
つ・づ・く
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