昨夜は80歳のハインツ・ホリガー、とにかく素晴らしかった…@オペラシティ
終演後は、ホリガーのお客さんが流れ込んだ新宿駅のプラットホームまで、ホリガースマイルで持ちきりといった感じでした。いい演奏会のあとの高揚感ってこのようなものなのですね!
豊かさは、明るさ!!
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あの明瞭なオーボエの音色が体内を、会場全体を、浄化してくれます。 圧巻はやっぱりホリガー吹き振りの(!)マルティヌー:オーボエ協奏曲でしたでしょうか。。老体とはなんでしょう!! 吹いているときは背中で全てを語り、シティフィルを本当にその気にさせて突き進むホリガー。こんなにリズムが気持ちよく響くとは!!
とはいえ、狂人と呼ばれる、人間の神秘的な領域を何よりも複雑に、繊細に描き出していくホリガー作品の魅力もじっくり聴くことができた。ヘルダーリン、シューマンならぬ、この度は晩年のリスト『暗い雲』、『凶星』のトランスクリプション。特に低音の響きが印象深かった。深い。
敬遠していたリスト作品にも手を伸ばしてみようと思う。巨匠に出会うと、こうやって自ずと行動が広がっていくから不思議だ。
2年前、 オペラシティコンポージアム2017での 2時間半にも及ぶホリガー大作《スカルダネッリ・ツィクルス》を、私は聴き逃している。。あれから、廃盤になったECMの『スカルダネッリ』と『暁の歌』を中古で手に入れた。
その中の『暁の歌』(ロベルト・シューマンの曲とフリードリヒ・ヘルダーリンの詩に基づく、オーケストラと合唱とテープのための)の第1楽章--春「太陽は新たな悦びに立ち帰り」を、2018年のリサイタルのアンコールで恐れ多くも弾き歌い版に小さく編曲させて頂いた。 ヘルダーリンの歌詞とシューマンのこの曲が、はじめから出会うべくあるように、必然をもって結びつけられていた。
今朝、ホリガーのパルティータの1曲目の“Innere Stimme”の響かせかたが、少しわかってきたような気がした。。