国際クレー研究誌『ZWITSCHER-MASCHINE』最新号に掲載されました📖
- yumiko segawa
- 6月4日
- 読了時間: 3分
更新日:6月10日
6/1 *Klee & Boulez
昨年🇨🇭パウル・クレー・センター(スイス・ベルン)を訪問してから、ほぼ1年じっくり執筆、かかわってきたクレーとブーレーズを巡る論考が、この度国際クレー研究誌『ZWITSCHER-MASCHINE』最新号に掲載されました📖
瀬川論考⤵️
最新号全体⤵️
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(▶️AKTUELLE AUSGABE → ISSUE No.17/ 2025)オープンアクセスなのでぜひ日本の皆様にも読んでいただけたら嬉しいです。
謝辞にプロセスに、語る事柄は山ほどあるのですが、まずはアイデアの段階から励ましていただき査読通過後もクレーセンターの卓越した編集部の皆様と妥協ない編集作業を出来ましたこと、そのお力添えなしにここまで来れなかったことについて感謝の気持ちを改めて。
タイトルは、IN THE MIDST OF A VISIONAL INFINITE MOTION—ENCOUNTER BETWEEN THE RED/GREEN OF KLEE'S FUGUE IN RED AND THE RED/GREEN OF BOULEZ'S CONSTELLATION-MIROIR OF 3RD PIANO SONATA
「夢想的な無限の動きのただ中で--『赤のフーガ』(クレー)の赤/緑と『第3ソナタ』-「コンステラシオン」(ブーレーズ)の赤/緑との出会い」です。
この最新号の表紙には、私の論考のテーマであるブーレーズのこの譜面を採用していただき(;_;) 彼のコンステラシオンのスコアが前面に浮かんでいます🎼
クレーの補色間の赤/緑の動きが探究された1921年の6作品から、特に有名な『赤のフーガ』を取り上げ、ブーレーズがコンステラシオンの譜面で使用した赤/緑の構造が演奏によって浮かび上がってくる様を、最終的にはブーレーズが未完の第3ソナタ全体の構想の中でシュトゥックハウゼンに手紙で語られた色彩のアイデアに至るまで、常にクレーの思考を共にしながら論を進めました。
また9つのセクションで語られた本記事で、最後の章では日本の現代音楽の状況にも触れたく、星谷丈生さんの『四季』の譜面や造形思考に通じる側面を演奏の面からも取り上げることが出来ました。慎重になり過ぎた面もあり100以上の冗長な注が付いていますが、その中で星谷さんの『四季』をはじめとする音源も資料として掲載していただきました。まさに、見ることと聴くこと、感じることが一緒になる論考を目指して🥹✨
また、昨年クレーセンターの巨大コレクションで直に拝見させて頂いたクレーのバッハ譜面の書き込みについても、「昨日も今日も同時のものとする」クレーの思考から推論を展開しています。
ブーレーズとクレーに私が魅せられているのは、作品も勿論ですが、「仕事の仕方」でした。この二人の世界を捉える方法。
なかなか好んで読まれることのない、ちょっと難解なブーレーズの
『現代音楽を考える Penser la musique Aujourd'hui』をクレーの造形思考のようなユーモアを交えた読み方をしたらどうでしょう?という提案を密かに忍ばせてみました。それだけ、2人の間には構造化の過程で同じ表現用語が存在するのです…。
ようやく一歩が踏み出せた、そんな心境です。今年下半期のクレー・リサイタル関連はこれから🐾これを足掛かりに新たな地平が広がるように引き続き演奏と両輪で研究も続けます📝
また、このジャーナルは、画家パウル・クレーを多角的に議論するための国際的プラットフォームで、今回も美術史、哲学、考古学、政治学…様々な出自の研究者による興味深い論考が集められ、詩人谷川俊太郎さんとクレーをめぐる詩的交流について書かれた作家Jürg Halterさんの記事もあり、私も一読者として拝読するのが楽しみです。皆様もぜひ📚
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