先日14日のリサイタルにお越しくださった皆様、ありがとうございました✨
今回の【その1】「双生の場所」:B×B…地続きの間隙・モザイク・透過」公演の楽章分断型プログラムには賛否両論寄せられ、様々にプログラムの意図に関するご質問をうけております。
40ページのパンフレットにもその「弁明」は書いたつもりでしたが、やはり私の怠りでございました。
次回公演に動き出す前に、この2公演で初めて成り立つ本プロジェクトである故、公演後に改めて解題記述に挑戦してみました📝
困惑された方にも、何かこの意図が伝わりましたら、
また、ご参考になりましたら幸いです🙇♀️✨
・・・・・・
照明演出という形でまるっと全体を「ひとつの舞台」として聴いていただくかたちを選ばせて頂きました。楽章ごとに分断した代わりに、かえって時代の異なるベートーヴェンとブーレーズの大曲2曲(それぞれ通して演奏すると30分)を、「解体劇」という趣で、その作品の「従来の1曲」という規模を拡張して他の曲も含み込む形で、「コンサート全体で一つ」へ「再構築」、を目指して今回は構成させて頂きました。
ブーレーズがこの第2ソナタを創作時、常にピアノの上にベートーヴェンのこの「ハンマークラヴィーア」ソナタがあったという逸話があります。
この2つのソナタは、同じく4楽章形式であり、
ベートーヴェン:ハンマークラヴィーアソナタは
第1楽章---ソナタ形式
第2楽章---スケルツォ
第3楽章---緩徐楽章(変奏曲のような形式)
第4楽章---フーガ
ブーレーズ:第2ソナタは
第1楽章---ソナタ形式
第2楽章---緩徐楽章(変奏曲)
第3楽章---スケルツォ
第4楽章---フーガ
と、見てわかる通り、2.3楽章は逆になっていますが、この2曲の巨大ソナタの楽章の内容は極めて似ています。
ブーレーズが、ベートーヴェンの「ハンマークラヴィーアソナタ」を下地にして「第2ソナタ」を創作したという逸話がよくわかります。
そして、「1楽章ずつ」、ブーレーズはソナタという形式を解体していったと言っていますので、その意図を汲んで、本当に1楽章ずつ分けて、見える形でパーツごとに解体していく様を今回は皆様に露骨にお見せしました。
そんな方法は演奏会では前代未聞なので、違和感を感じる方がいらっしゃることは、もちろん覚悟のうえで、敢えてこの決断を致しました。
冒頭、ベートーヴェンの第1楽章の後にすぐブーレーズ第1楽章を演奏しましたのは、まさにその理由から。
ベートーヴェンの第2楽章スケルツォとブーレーズの第3楽章のスケルツォは、対置や対応を意識せずに、間奏的な遊び心として、ベートーヴェンは重要な第1楽章の末尾に、ブーレーズは重要な第4楽章の頭に挿入致しました。
ブーレーズの3.4楽章を前半の最後に置いたのには、
前半と後半、という2つの世界を作る私の意識によるものからで、前半にはブーレーズの最終章を、後半最後にはベートーヴェンの最終章を置いてそれぞれにフィナーレを創りました。
さて後半は、ベートーヴェンの第3楽章から始まり、ベートーヴェンの4楽章で終わります。
この3-4楽章は、ベートーヴェンが仕掛けた半音続きの、効果的で重要な、最も強い「接続の力」で結ばれています。
それゆえに、敢えてこの接続の意図を切り離し、その間に、ブクレシュリエフの即興の島『群島』と、先のベートーヴェンの3楽章と対応関係にある緩徐楽章(変奏)のブーレーズの第2楽章という、「巨大な体験形式」の2作品を差し挟み、ベートーヴェンの描いた3-4楽章間の強い接続に、この架空の「拡張効果」を差し挟んだことで、かえってより、この「接続の力」を強化しようとした、私の最大の挑戦がここにございました。
なので、最後のベートーヴェンの第4楽章の出だしにたどり着いた時に、従来の連続的な連なりで聴く「ハンマークラヴィーア」以上の、また、それとは「別様の」特別な次元を越えた到達感を感じるはず…
と願いをこめての配置でした。
このようなまた回りくどい説明で
また混乱させてしまいましたら申し訳ございません。
次回1/27公演は、ブーレーズは通しで演奏致しますので、もう少しゆったり聴いて頂けましたら幸いです。
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【その2】vol.10 来年1月27日(土)16時開演
@トッパンホール
「植物的で不可思議な」:to B 個体・ほころび・創発」
ルイ・クープラン:フローベルガー氏の模倣による前奏曲
・クセナキス:霧(ミスツ)
・バルトーク:戸外にて
・J.S.バッハ:イギリス組曲 第3番 ト短調 作品808
・シェーンベルク:3つのピアノ曲 作品11ー3
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・星谷丈生:四季 -ピアノのための-(2016)
・ブーレーズ:ピアノソナタ第2番(1947-48)【全4楽章】
segaway-project HP
トッパンホールチケットセンター
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