★別様の作動 2 in 1 in 2 その8★
『想形・造形・造響思考ノート』
プログラムノートというべきか…
今回の2公演企画では、40ページの
『想形・造形・造響思考ノート』
たるものを作成しました📝当日配布します。
パウル・クレーの『造形思考ノート』を文字ってみたことは何となく皆さんには分かってしまいますね😊
2016年にクレー・プロジェクトとしてスタートしたsegawayリサイタルvol.5より4作、CDも4作、今回で9作目になるデザイン、7年間この膨大な難行苦行をしていただいた山入端祥太さん(やまねこデザイン)さんに心から感謝しています✨
譜例の加工ひとつひとつまで緻密な作業を施してくださいました🥹恐らく汗の色が仄かに赤く滲んでいたに違いない😣当日、お手に取っていただけましたらわかります✨
ブーレーズにみるベートーヴェン、
ベートーヴェンにみるブーレーズ、
この度はこれまでになく詳細に検証してみました。
特に、BoulezがBeethovenの「ハンマークラヴィーアソナタ」の第4楽章の大フーガについて考察している「システムvs音程」の話に凝縮しています💡
このテーマは、ご存知の通り、Bdurでf-aと、冒頭が「10度音程で」跳躍しトリルするところから始まり、それに16分音符の蛇行で連なってできています。
しかしフーガの「システム」の中では、「変応」というお決まり事があってこの「10度」という「音程」は度々歪ませられます。
この状況を、
システム>音程
とブーレーズは言います。
しかし、ベートーヴェンはこのハンマークラヴィーアのフーガでは果敢にこの「システム>音程」構図を乗り越えようとする!やがてテーマの頭部である10度音程のみの嵐がやってきます💥
遂には、10度音程がシステムを凌駕し、灌漑していく…(そこにテーマの中で重要なトリルが脇役でなくむしろ、全体を飲み込んでいくような勢いを得ていきます!)
このとき、
音程>システム
と逆転する!
この逆転劇について、ブーレーズは要点を絞ってこのベートーヴェンの凄さを力説しています。
実はそういったことのアナロジーとして、クレーの『造形思考』の中から、ブーレーズがしばしば引用するクレーのある造形レッスンを引き合いに出してエッセイにしました📝
クレーのレッスンとは
「確固とした構造を特徴とするものと、ゆるんだ構造を特徴とするものを組み合わせてひとつの全体を形づくる」
というものです。
以前、「音プレ」のレクチャーでもご紹介しました☺️⤵️✨
私は今回このことを骨身に沁みて日々落とし込んできました。
ベートーヴェンはさらにブーレーズの眼差しを受けて日々更新されるようです✨
それを体現したくて、今回のプログラムにしました🥹
ブーレーズとベートーヴェンのソナタには大きな隔たりがありますが、どこにこの熱い精神が脈々と受け継がれているのか、これは言葉と共に演奏で尽くしたいところです。
ブーレーズがこの第2ソナタを創作していた間、譜面台にはベートーヴェンのハンマークラヴィーアやop.27-1の一見長閑に見える、されど革新的な兆候を含むソナタが置かれていたこと。このことを私なりに色々推測してみました。
そのほか、2公演全てを連関させた少し長めのアウトライン、そしてエッセイ8篇をしたためました。
あと2週間、いい感じで持っていきたい。
◆プログラム◆————————
【その1】vol.9 10月14日(土)
「双生の場所」:B×B…地続きの間隙・モザイク・透過」
・クルターク:8つのピアノ小品 作品3
・ベートーヴェン:ピアノソナタ第29番 変ロ長調 作品106「ハンマークラヴィーア」から第1.2楽章
・ブーレーズ:ピアノソナタ第2番から 第1楽章
・福士則夫:とぎれた記憶(2000)
・ブーレーズ:ピアノソナタ第2番 から 第3.4楽章
・・・
・ベートーヴェン:ピアノソナタ「ハンマークラヴィーア」から第3楽章
・ブクレシュリエフ:群島Ⅳ(1970)
・ブーレーズ:ピアノソナタ第2番 から第2楽章
・ベートーヴェン:ピアノソナタ「ハンマークラヴィーア」から第4楽章
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【その2】vol.10 来年1月27日(土)
「植物的で不可思議な」:to B 個体・ほころび・創発」
・ルイ・クープラン:フローベルガー氏の模倣による前奏曲
・クセナキス:霧(ミスツ)
・バルトーク:戸外にて
・J.S.バッハ:イギリス組曲 第3番 ト短調 作品808
・シェーンベルク:3つのピアノ曲 作品11ー3
・・・
・星谷丈生:四季 -ピアノのための-(2016)
・ブーレーズ:ピアノソナタ第2番(1947-48)【全4楽章】
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